-撮影ウラばなし-

 

 このページに入るためには、説明も何もないのに「なんでこの写真だけクリッカブルなんやろ?」
という疑問を持つ必要がある訳だが、なぜそんな構成にしたかというと、写真にある程度感動など
してしまった人にとっては興ざめになるからである。最初は「最後のページ下部にでも付けようか」
と考え、いやいやせっかくノー・コピー(撮影データ以外に解説なし)でやってきたのがブチコワシ
になる、と考え直し、しかし長時間露光撮影などというものには苦労話がつきもので、撮影者として
は喋りたくってウズウズしている。で、これらを一息に解決しようとして思い付いたのが、この「隠
しページ」の手法なのであった。

 

 この写真を見た人の中には「なんでわざわざ餘部でこの写真を?」という疑問を抱いた人が必
ずいるだろう。少なくとも筆者が初めてこれを見たら、きっとそう感じる。実は、「わざわざ」これを
これを撮りに来た訳ではないのである。
 本当は、鉄橋の下に三脚を据え、町の光を下に、橋上の列車を「光跡」にして撮る予定だった
のだ。ところが、現地はあいにく雨模様。一度は集落に降りてみたものの、雨は強まる一方で、
涙を飲んで駅に引き返し、「仕方なく」待合室の軒下に三脚を据えたのである。それが、写真が
仕上がってみれば、濡れたホームがリフレクタになってうまく光が交錯し、照明灯が国鉄急行塗
装の車体をほのかに照らし出しており、意外や意外、悪くない絵になっていたのだった。
 夜の撮影は冬場に限る。陽が暮れるのが早いから被写体に不自由しないし、街灯に集まる虫
どもに悩まされる心配もない。しかしながら、冬の日本海側は天候が不安定である。そのため、
余部橋梁での長時間露光撮影に「成功」したのは2006年になってからであった。

 

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