周遊券が突然廃止されたときには本当に驚いた。
時刻表に載った新しい「周遊きっぷ」の説明を読んでも、分からないことだらけである。詳しくは発売箇所でお尋ねください、というのがパンフレット類では常套句だけれど、筆者は以前から現場の係員をあまり信用していない。
大学に合格したとき、(絶対にすべて落ちると信じていたらしい)親が旅費を出してくれるというので、不孝(!)にも北海道旅行の帰りに「日本海2号」のA寝台を使ったのだが、いきなり窓口で「日本海にA寝台はないよ」と言われてしまった。もっとも、これは時刻表を指差して反論すれば片がつく。
(画像はかつての「夢の切符」北海道ワイド周遊券)
大学最初の夏休みに「ムーンライト九州」の指定席券を買ったら「乗車券は?」と窓口氏。「18きっぷ2枚(当時は5枚綴り)で行きます」と言ったところ、なんと「18きっぷで指定席には乗れない」ときた。面倒臭いから「今は持ち合わせがないから後で買う」と言っておいたが、知識のない乗客なら諦めたかもしれないケースだ。その後も、ワイド周遊券の「自由周遊区間内」で自由席特急料金を請求されたり(裏に説明のある古い型の切符だったから助かった)、2日間有効と書かれた青い硬券の切符なのに「途中下車はできない」と言われたり、ろくな目に遭わない。
周遊きっぷの話に戻ろう。
困ったのが只見線である。旧(南)東北ワイドに入っていた只見以東がゾーン券でカヴァーされていないのだ(代わりに只見以西が「越後湯沢・弥彦ゾーン」に入ったものの、あの列車本数では使いようがない)。仕方がないから「越後・新潟ゾーン」に只見線経由で会津若松から入ろうと思ったら、大阪から北陸回りではゆき券の途上、柏崎〜宮内間がゾーンに入ってしまう。ゾーンを通過する「ゆき・かえり券」は発行できるのだろうか。
大学鉄研時代からの旧友に訊くと「たぶん駄目だろう」という判断だったが、意外にもこれは可能であった。それどころか、どうも周遊きっぷ関連の営業規則には不備が多いらしく、規則上はゾーン内から適当なところを200キロ以上ひと筆書きで回って帰ってくる「ゆき・かえり券」も可能らしい。ただし、左のような発券は、何年だかからは「JR東日本では行わない」という貼り紙を旅先で見た(というより、この貼り紙を見て、へえ、そんなことも出来たのか、と感心したのだが)。
鉄道の営業規則というのは法律と同じで、必要と記された条件を満たし、不可と記された条件に触れなければ、すべてOKなのである。具体例として、いわゆる120円旅行の途上に特急(むろん料金は必要)を使ったり、大阪始発の「しなの」で名古屋へ行って帰りを新幹線にするとき乗継割引をかける手など。もっとも、前半に書いたように勝手に「駄目」と決めてしまう駅員や車掌が多いので要注意ではある。
読者の中で、何か周遊きっぷの「合法的裏技」をご存知の方がおられたら、ぜひご教授願いたい。
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